天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

神奈川の力石16

川崎市川崎区の石観音堂にて

 川崎大師から3kmほど離れたところにある石観音堂は、寛文5年に明長寺の僧弁融によって開かれた寺で、本尊は石造如意輪観音像になっている。境内には、漁師たちが亀たちに手伝ってもらって海から引き揚げ、手洗石として奉納した「霊亀石」や地元の俳人・花鳥庵梅動が、宝暦8年に柿本人麻呂像奉納のため矢数独吟を催した記念の「梅動独吟万句詠草塚」などがある。力石は七つに、文字が刻まれてあった。


[石観音堂川崎市川崎区観音二
     力石七つ見おろす吾亦紅
     石の面の影たよりなき吾亦紅
     石像に観音さまの秋思かな

  力石七つのむかひ俳諧の「独吟万句詠草塚」あり
  亀たちも運びてくれし手水石舟のごときを庭に横たふ
  頬杖をつく観音の石像が秋の朝日に眠れるごとし
  力石、手洗石に石燈籠、石仏もあり石観音堂


御嶽神社川崎市幸区塚越一丁目64
  小学生低学年を前にして老人が説く神社の由来
  老人が次々あぐる命名御嶽神社に祀る神々
  力石横に見ゆれど老人は小学生らに語ることなし
  なにごとか文字彫られたる石の面に「二十七」なる数字が
  見える


八幡神社川崎市中原区苅宿134
  新幹線ガードの脇の八幡宮鳥居の下に力石三つ
  窪み四つ穿てる石がふたつあり窪みの用途に思ひ及ばず
  公園の一部となりし八幡宮誰か気付かむ三つ力石
  いつよりか力自慢を止めにけむ鳥居の下に蹲(うづくま)る石