師走の吾妻山

　二宮町の吾妻山には、このところさっぱり御無沙汰していたが、紅葉は終った頃だろうかと気になって訪ねてみた。銀杏の木では黄葉は半分以上散っていたが、檪、欅の黄葉やいろは紅葉はまだ枝に鮮やかに残っていて、十分に堪能することができた。山頂の菜の花畑には、例年のように花が咲き始めていた。

　　　　　ざつと降る紅葉ふぶきの吾妻山
　　　　　師走はや菜の花の咲く吾妻山

　　騒音の始まる朝の街路樹はしづ心なくもみぢを散らす
　　朝光に白骨さらす大銀杏下に血を噴くいろはもみぢ葉
　　参道の山路なかばに佇みて今年おはりの紅葉を仰ぐ
　　一陣の風山頂に吹ききたり秋霜烈日もみぢを散らす
　　突然にアカメガシワにミズナラに一陣の風もみぢを散らす
　　兄が先ず「こんにちは」と言ひ弟が「こんにちは」と続く
　　もみぢ散る山