天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

波の歌(8)

さざなみ

 さざなみは、風速5m/秒以下の弱い風が吹くときにできるしわのような小さな波で表面張力波。漢字では、漣,細波,小波などを当てる。


  氷りゐし志賀の唐崎うちとけてささなみ寄する春風ぞ吹く
                詞花集・大江匡房
  秋潮のなみがしら皆われに向き瞬間の静止ありて崩るる
                    太田玲子
  息の緒の喘ぎのごとき波の音こもれる松の木の間を歩む
                    葛原 繁
  くずれまたもりあがりくずれ幾重波あたらしき波億兆の波
                    加藤克巳
  火のごとく輝りてそののちたどたどと暗くなりゆく寒の
  さざなみ              石川一成


  研究し最も波の打つところ厚く組み込むテトラポッド
                    奥村晃作
  滾つ瀬のようなる過去も平らぎてさざ波ほどに老へ近づく
                    土居 正


[注]右上の画像は、「波―Wikipedia」を参考にした。
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%A2