天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

波の歌(7)

土用波(湘南海岸にて)

 土用波は、晩夏の土用の時期に、発生する大波である。遠洋に存在する台風の影響で起きる波で、正体は、うねり。


  幾重にもうちあふごとく波さわぎ湧きたつ海を日は
  照らしたり            佐藤佐太郎


  あたらしき風涛三百六十の日々を凌がん健やかにして
                   佐藤佐太郎
  押し寄する大波緑(あを)く立ち上り晩夏は寂し海も人らも
                    島田修二
  起ちても涛(なみ)かがみても涛どうしやうもなくて
  見てゐる高志(こし)の冬涛      木俣 修


  ことごとく陸(くが)に寄り来る海の波淋しさわれに
  折り重(かさ)なりて         福田栄一


  退く波の痕(あと)たちまちに乾きつつ粗きいさごに
  昼の陽は照る            田谷 鋭