田螺(たにし)(2)
世界的に見れば、南米・南極を除いた大陸の淡水に棲息しており、アジアには特に種類が多く、稲作文化によりタニシと人との関係が生じ、人はタニシを食用にするようになった。日本でも「ツブ」、「田つぶ」などと呼び、味噌汁の具にするなど食用にしてきた。
命なれや泥田の田螺はるかぜに目ざめて蠢(うご)くそれの
不思議さ 岩谷莫哀
飽くまでに越後の田螺煮し思ふ老いて田螺を食へぬ今夜に
岡部文夫
すぎし日のきのふも今日(けふ)もかなしみてわれは田螺に
なりたく思ひぬ 福田栄一
田螺らの臓(わた)ゑぐり食ふ 貝もわれももとより皓(しろ)き
肉(ししむら)ならず 斎藤 史
春水の底に身沈め泥を食む田螺よ何を思ひ出でつつ
寺井 淳