天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

葬儀と清酒

わが食卓から

 この秋は、わが遠い故郷の広島で二度の葬式に出席した。寿命がくれば生きとし生けるもの全て死ぬ定めにあることをあらためて思う。棺に入れられた死体の顔を見ることは忍びない。だがこれもわが時のことを想像するよすがになる。骨揚げまでは、とても参加できないので、葬式が済み次第、新幹線で横浜に帰って来た。車中でも家に帰ってからも酒を飲んで遣る瀬なさを忘れた。この時の酒が美味であったので、少し紹介しておこう。新幹線の車内販売で買って飲んだのは、一合瓶の「獺祭」、また戸塚で買って来たのが「京姫 匠」である。どちらも冷酒で飲んだのだが、今まで経験したどの日本酒よりも旨いと感じた。


  この秋のふたつの旅はふるさとの葬式なればさみしかりけり
  葬儀社のガイドの合掌礼拝に従ひつつも釈然とせず
  いくたびか聞きて慣れにし御文章の「朝に紅顔夕べに白骨」
  足のそば顔の近くに供花おきて口開く遺体に手を合せたり
  サングラスのままに手合はせ見送りぬ遺影抱ける喪主の車を
  「炙り烏賊チーズ」さかなに大吟醸「獺祭」を呑む新幹線に
  グリーン車の車内販売「獺祭」はひとり一本と断られたり
  新幹線車窓にのぞむ姫路城白粉のすぎてよそよそしく見ゆ
  わが父母をいにしへ京の鳥辺野に葬りて終ひの供養となしぬ
  墓地を買ふむなしさ子等に話せども応へはあらずいまだ悩まし
  イチローのヒット、スチール期待してMLBを今日も見てをり