天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夕陽のうた(9/10)

台北の夕陽

 前田透の歌にあるチークは、シソ科チーク属の落葉高木の総称。アジアの熱帯モンスーン気候地方に分布する。材質は堅く、伸縮率が小さく、水に強いので、船舶・家具などや建築材として広く使用される。


  羚羊(かもしか)は岩をとびたりその細き四肢もて高く
  夕陽をまたぎ           斎藤 史


  いましばし人なるわれか海原は視野をかぎりの落暉を
  かへす              岸田典子


  肉体の潰(つひ)えゆく時を思ふ日よ蜻蛉(あきつ)は夕陽を
  向きて皆飛ぶ           永平利夫


  雲間漏れ条なして海に差す夕陽ヨット一つを捉へて照らす
                   志津君子
  風鳴れるチーク疎林を離(か)れ行きて夕日の時を生きてあれ
  ジュオン
                   前田 透
  沈みつつかすかに道に射す夕陽 枯れたる芒の茎に集まる
                    浜 守
  秋枯れの弘法麦のまばらなる砂丘に夕陽光らず沈む
                   塩野崎宏


[注]右上の画像は、「生で見たい世界のうつくしい夕焼け10選」から借用した。
    http://blog.compathy.net/2015/01/02/sunset_yf/