定家卿を訪ふ(5/7)
定家は、夜空に「客星」「奇星」が現れ、明るく染まった時、その都度不安に駆られて、陰陽師(安倍泰俊)に問い質した。そこで伝え聞いた話には、現在に知られる3種類の超新星爆発(かに星雲、SN1006、SN1181)があった。
かに星雲は牡牛座にある超新星爆発(1054年)の残骸で、地球からの距離はおよそ7000光年。現在も膨張を続けている。なお、定家が存命中に現れたのは超新星SN1181(西暦1181年)のはずであるが、他にも彗星などあり、実際に見た超新星がどれかを特定するのは難しい。
尋ね来し水無瀬宮址に碑を探すむぐら茂れる線路の脇に
後鳥羽院、定家ら歌人の集ひける水無瀬の里は電車が通る
正二位にのぼりつめたる喜びを「希代ノ珍事」と明月記にあり
為家の嫁の実家を頼りては国司になるを相談したり
大金を納めて国司になりたれどあがりのほどは当てにならざり
装束の種類こまごま書き記す行事見る目の六十九歳
勅撰集の選者請はれて逡巡す隠岐にをはせる院を思ひて
超新星爆発と知る後の世に藤原定家の名も知られたり