天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

日本を詠む(2/2)

  日本脱出したし 皇帝ペンギン皇帝ペンギン飼育係りも
                       塚本邦雄
  マッチ擦るつかの間海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
                       寺山修司
  流氷の来る季(とき)北へ帰るもの祖国持たぬはむしろすがしく
                      清原日出夫
  うら若き青春の日を日本に小学教師なせるわれはも
                       矢代東村
  米国の第七艦隊の配置図にあはれ洋中(わだなか)の日本の基地
                      窪田章一郎
*米国の第七艦隊: 原子力空母「ロナルド・レーガン」と艦載される第5空母航空団を戦闘部隊の主力とし、戦時には50〜60の艦船、350機の航空機を擁する規模となる。人的勢力も6万の水兵と海兵を動員する能力をもつ。平時の兵力は約2万。アメリカ本国の反対側に当たる地球の半分を活動範囲とし、アメリカ海軍の艦隊の中では、最大の規模と戦力を誇る。旗艦/司令部は横須賀市にある横須賀海軍施設を母港とする揚陸指揮艦「ブルー・リッジ」艦上にあり、海軍中将が座乗する。横須賀海軍施設の他、佐世保市沖縄県、韓国の釜山、浦項、鎮海、シンガポールなどに基地を展開している。(出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)

  ハバロフスクの曠野の空港のかぎろいに黒き喪服は日本の遺族ら
                       近藤芳美
  をさな児も妻も率(ゐ)てきつ君を送るわれら日本の貧しき家族
                       岡野弘彦
*徴兵されて故郷を出て行く兵士を見送る光景であろう。

  鉱(あらがね)のごとき体がひしめきて犠(にえ)祭(まつり)せり六月、日本
                       岡井 隆
安保闘争を詠んだもの。

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流氷