天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

空母(2)

ジョージワシントン(横須賀にて)

 米海軍横須賀基地原子力空母「ジョージ・ワシントン」を見に行った。偶然に横須賀市のニュースで知ったのである。長蛇の列をなして正面ゲートで手荷物検査を受けてから基地の中に入った。アパート、各種施設、港内には巡洋艦数隻などを見かけた。迷彩服の兵士も歩いていた。が、緊張感はまるでなかった。戦場に出かける際のこの基地の雰囲気はどんなものか知りたいと思った。
兵士からもらったリーフレットにある「ジョージ・ワシントン」の基本データのいくつかを次に紹介しておこう。

  造船所: ニューポート・ニュース造船所
  起工日: 1986年8月25日
  就役日: 1992年7月4日
  速度: 30ノット以上
  推進: 約18年間燃料補給不要の原子炉2基
  カタパルト: 4基
  飛行甲板全長: 1092フィート
  建造に使用した鋼材: 60000トン
  艦載機数: 約75機
  乗組員数: 6250名   

艦上には、展示用の戦闘機一機のみ。艦載機は横須賀港に入港する前に米軍厚木基地に飛び立っており、入港時には空母上にいない。厚木基地の艦載機は、夜間離発着訓練を行う。
ジョージ・ワシントン」は全長410mの空母専用埠頭12号バースに停泊している。甲板の横端にプライ・フライと呼ぶ主要航空情報センターと艦橋が聳えているが、あとは滑走路のような平面があるのみ。従って建築物が多い港にあっては、この空母がどこにいるかは見つけがたい。


  駅からはまたく見えざり原子力空母がひそむ軍港の奥
  正面に横須賀米軍基地を見て間借するかにわが自衛艦
  半数は老人なりき晩秋の横須賀米軍基地の見学
  ながながと蛇のごとくに列なせり横須賀米軍基地の入口
  若き日の呉、横須賀の思ひ出を言ひつつ並ぶ基地のゲートに
  おほまかにバッグチェックし皆通す基地のゲートの迷彩服は
  にこやかに日本語使ひあひさつす黒人多き米軍兵士
  12号バースに泊まり息をつぐ空母専用埠頭なりけり
  格納庫から甲板へ移動する戦闘機ならぬ見学者の群
  実戦に使ふと見えぬ戦闘機一機のみ置く甲板の上に
  甲板をめぐるのみなる見学に歓声あぐるわが国民は
  軍歴をかたみに語り米軍の基地をめぐりぬ老人の群
  数人の士官らしきがにこやかに見物人の群をみちびく
  実戦の兵士はいづこ原子力空母めぐれば平和なる顔
  一箱のピザぶらさげて帰りくる軍港見学終へし老人
  丈たかきクレーンの立てる下の辺に核息づける
  ジョージ・ワシントン