天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

戦争を詠むー武器(3/4)

  砲弾の破片のうずくこめかみに土瓶の尻をのせて冷せり

                         山崎方代

  胴体を波に深くしづめ軍艦の取りつくしまもなく横たはりゐる

                         木下利玄

  海底に夜ごとしづかに溶けゐつつあらむ。航空母艦も火夫も

                         塚本邦雄

  一隻の空母入り来て泊(は)つる夜や葉の細部まであぢさゐわれは

                         岡井 隆

  かつて戦艦陸奥(むつ)と呼ばれし日のありて鉄が吐き出す水をさびしむ

                        佐佐木幸綱

*戦艦陸奥: 戦艦「長門」とともに帝国海軍の象徴として、長く日本国民から親しまれたものが、昭和18年6月に主砲火薬庫から爆発を起こして瀬戸内海に沈没した

 

  なぜ銃で兵士が人を撃つのかと子が問う何が起こるのか見よ

                        中川佐和子

  クラスターつまり葡萄の千房の爆弾保有すこの日本も

                        中川佐和子

クラスター爆弾は、「それぞれが20キログラムを超えない爆発性子弾を散布または放出するよう設計された通常弾で、それらの爆発性子弾が含まれるもの」と定義されている。主に航空機や地対地ロケット弾、砲弾などに搭載される。

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航空母艦