天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

春一番

由比ヶ浜

 天気情報によると春一番はすでに吹いたということだが、今日の砂嵐こそが春一番にふさわしい。腰越、極楽寺長谷寺、光則寺、由比ヶ浜とわが定番の吟行コースをたどったが、なにしろ風が強かった。


     ビニールの帆立てて疾る春一番
     腰越や春一番の海荒るる
     春一番船室に入る烏かな
     押し寄する春一番の波頭
     春一番毛羽立つ波の由比ヶ浜
     黒光とふ木瓜の花咲く石灯籠
     天翔ける谷戸の松籟春の鳶
     長生きの孔雀に会へり谷戸の春
     
  ビニールの帆立てて越ゆる波頭春一番に荒るる海坂
  押し寄する春一番の波に乗るサーファたちの稲村ガ崎
  さんしゅゆの花のゆたかさあふぎ見る亀が顔出す長谷寺の池
  辛夷うすむらさきに咲きにけり正座に耐ふる写経の男女
  光則寺雨ニモマケズの詩碑ありて今さかりなるみつまたの花

  長生きの孔雀の檻に栗鼠入りて餌つひばめり谷戸の松籟