天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

梅雨の晴れ間

姫緋扇水仙(鎌倉長谷にて)

 久しぶりに江ノ電に乗って、極楽寺に行き、成就院長谷寺、光則寺と歩いた。成就院の参道や長谷寺の山斜面は紫陽花の名所ということで、大変な人出。なんともざわついた光景になる。長谷寺裏手の光則寺本堂の静かな縁側に坐って、鶯の声を聞いていると心も静まる。若い孔雀の啼き声は、聞こえなかった。番いなので沈黙しているのだろう。


    紫陽花を背にうつむける写経かな
    白百合に花粉のよごれありにけり
    鎌倉の谷戸のうぐひす幾世代
    うぐひすや朝の読経に加はれる


  葉桜の根方に置かれ主待つあぢさゐ色のハンカチひとつ
  あぢさゐの参道のぼりふり返る眼下に白き由比ヶ浜
  梅雨晴れて朝のうぐひす鳴く谷戸に定家葛は白くにほへり