天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

アガパンサス

アガパンサスの花

 ギリシャ語の 「agapa(愛らしい)+ anthos(花)」に発する。紫君子蘭、アフリカの百合 とも。花言葉は「知的な装い」。南アフリカ原産、ヒガンバナ科多年草で、わが国には明治中期に渡来した。

 飯田龍太の俳句を分析しているが、どうしても彼の父・蛇笏の句の特徴と比較せざるを得なくなって、蛇笏関係の本まで買い始めた。『飯田蛇笏秀句鑑賞』を読み終え、『蛇笏・龍太の旅心』の到着を待っている。
 ふたりに共通しているのは、詠む対象としての郷土の山河、技法としての擬人法。異なっているのは、蛇笏の凝視ともいうべき写実と定型の切れ。龍太の叙情と句構造の自在である。
 ここでは、蛇笏の非常なまでの写実・凝視の例句をあげておく。


      鼈(スッポン)をくびきる夏のうす刃かな
      老鶏の蟇ぶらさげて歩くかな
      なきがらや秋風かよふ鼻の穴
      なきがらのはしらをつかむ炬燵かな