天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

風鈴市

川崎大師にて

 川崎大師の風鈴市は、今年は、7月18日から22日まで開催される。北海道から沖縄まで39都道府県の700種類、約20,000個の風鈴が揃い、価格は500円から200,000円まであるという。毎年出かけているが、何も変わったことはない。

高浜虚子の句
      金色の涼しき法の光かな 

文楽太夫の六世竹本綱太夫の辞世
      ものいはで立出るなり秋のくれ


などいくつかの碑があるが、誰も気に留めない。


      風鈴の風にお香のただよひ来
      飴切るや風鈴市の参道に
      秋風や虚子絶筆の揮毫句碑
      餌待ちて亀あまた寄るひつじ草
      笊、ふくろふ風鈴市の竹細工
      猿回し風鈴市を笑はせて
      葛餅は咽喉に詰まらず観世音


  多摩川の河口に開け参拝の人の絶えざる川崎大師
  なつかしき古き地名の風鈴の音聞きにゆく川崎大師
  大小の目無し達磨が山なせり川崎大師参道の店
  透きとほる水をたたへて鎮もれり屋台に売れる魔除水晶
  三十年かよひつづけて落花生風鈴市の参道に売る
  あらそひて麩にくらひつく亀の群鯉とアヒルが横取りにくる
  不自由なる身をひきずりて今年また風鈴市の風聞きに来る
  見るのみの音聞くのみの客多し風鈴市をめぐるにぎはひ
  門前に立ちて鈴振る行乞の黒き衣を秋風が吹く