天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

風鈴

鎌倉・ぼたもち寺にて

 風鐸(ふうたく)、鉄馬(てつば)ともいう。唐の岐王が竹林に玉片をかけ、その音で風を占い、占風鐸と呼んだ。日本では風鈴売りが江戸時代に親しまれた。また風鈴をつるした蕎麦屋の屋台もあり、風鈴蕎麦と呼ばれた。以前にもご紹介したが、神奈川県では川崎大師の風鈴市が有名。


     風鈴の舌ちぎれんと鳴りしきる  長谷川櫂
     風鈴の舌をおさへてはづしけり  川崎展宏


  生物のすぎゆける如もなつかしや吾子の風鈴そと鳴りしさへに
                   若山喜志子
  ゆふぐれの風の和ぎたる軒さきに硝子風鈴黄色に光る
                   鹿児島寿蔵
  ヨロン島の貝の風鈴軒に鳴りくれたる人も子ども生みたる
                   岡部桂一郎
  とめどなく夢つぎて見し暁の暗きしじまに風鈴聞こゆ
                   金子一秋
  おくり来し姫路名産火箸型風鈴にして霧をよろこぶ
                   佐佐木幸綱
  吹く風に音色を付けて風鈴はしづかに鳴りぬ一韻一涼
                   高野公彦