天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大磯地獄沢の紅葉

大磯地獄沢にて

 地獄沢は湘南平の裾にある紅葉の名所であるが、多分広くは知られていない。高来神社から裏山に入り右手に歩く。例年この時期に訪れるので今年も来てみたが、ここは少し早すぎたようだ。あまり紅葉していなかった。


     散り来るは銀杏の黄葉力石
     椋鳥のにぎはひ来たる地獄沢
     地獄沢下れば落葉吹きあぐる


  バス停のむかひに立ちて無人なる新鮮野菜の直売所あり
  染め抜きの幟と手書きの看板は「新鮮野菜」と「野菜直売」
  昨夜降りし銀杏落葉を掻き集む旧東海道は大磯の宿
  銀杏散る高来(たかく)神社の参道に「力石」とふ立札の見ゆ
  首筋の冷たき風に震へつつ紅葉狩ゆく地獄沢まで
  いざ行かむ橋の落ちたる所まで「通行止め」を無視して歩く
  いざ行かむ紅葉きはだつところまで落ちたる橋を石踏み渡る
  引き返す山路をいとひ平塚へ花水橋とふバス停に立つ