藤沢市の新林公園は、もともと里山であったところだろう。大きな池を囲むように山があり、その尾根道の傍に獣落し(ししおとし)が掘られていた。そして麓には、田んぼが広がっていた。
宅地開発によって林も田んぼもどんどんなくなって、ついには公園にして自然を保存することになったのだ。
里山や落葉たまれる獣落し
藤棚の藤に若葉の萌えそめて平成十九年終らむとする
春の花夏の青葉をたのしみし山粧ひて冬を迎ふる
朝光の里山道は年暮れて落葉ふむ音ヒヨドリの声
雌鴨二羽羽づくろひせり首黒き雄鴨一羽の枯葉ちる池
大いなる波紋たちたり朝日さす池の真中に雄鴨水浴ぶ
首を噛み雌の背にのる雄鴨に大声あぐる人の妻はも
この池にあかずひと日を暮らすらし朝すぎたれば浮寝する鴨