天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

里山の山桜

藤沢新林公園にて

 里山に行くと山桜が満開になっている。藤沢の新林公園で気付いた。この花を見るといつも次の名歌を思い出す。
  敷島のやまと心を人とはば朝日に匂ふ山さくら花
                    本居宣長


 山桜は、日本の野生の桜の代表的な種で、和歌にも数多く詠まれている。サクラの仲間では寿命が長く大木になる。「吉野の桜」は、本来この山桜を指し、日本の象徴とされた桜。長寿で樹齢500年を越えるものがある。
新林公園の池の周辺とたんぼにに「イノシシが出る」との立札があった。初めて見たので驚いた。


     うすみどり春かんざしの木五倍子(きぶし)かな
     獣落(ししおと)し縁のぜんまひ猛々し
     里山の木の間に覗く春の富士
     春日差ベビーバギーに双子のせ
     鳩あるく春の日陰の土ぼこり


  里山の田にイノシシの出るといふ立札ありて驚かれぬる
  イノシシの出没するとふ里山に落葉たまれる獣落しあり
  もの思ひうつむきあゆむ山道の頭上高きに咲く山桜
  老人と並びて歩く黒犬はどこか病むらしつらさうに見ゆ
  とび発ちてまたとび来たるこの鳩は何を探すかせかせか歩く