天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夏木立(2)

鎌倉・浄智寺

 今回は、寿福寺海蔵寺化粧坂、葛原ケ岡、浄智寺といったルートを歩いた。海蔵寺の山門をくぐると左側に、清水基吉の句碑がある。


      侘び住めバ八方の蟲四方の露
   

 俳人としての基吉は、石田波郷に師事した。小説家としては、第二十回芥川賞を受賞している。海蔵寺の門前に住んだ。


      つばめの仔扇ケ谷を巣立ちけり
      楼門に千社札あり夏木立
      柏槙の蝉に鎮もる禅寺かな
      胸に背に汗しとどなる化粧坂


  つゆ草の花咲く墓地のやぐらには母と並びて歌人・実朝
  禅寺をかこむ木立にひびかへり植木手入れの鋏の音は
  天皇に誠ささげし朝臣を今に讃ふる葛原ケ岡
  打首の場所と伝ふる石碑あり風も涼しき葛原ケ岡
  鎌倉にうらみ残してつゆと消ゆ日野俊基の歯軋りをこそ