天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蟹(2)

江ノ島水族館にて

 甲殻綱短尾類の総称。タカアシガニは日本特産で世界最大。はさみを広げると2mから3mになる。東京湾の海底谷に多数生息するらしい。NHKスペシャル「幻のサメを探せ」で知った。余談だが、この幻の鮫は日本ではミツクリザメ、海外ではゴブリン・シャーク(悪魔のサメ)と呼ばれている。NHKはこの撮影にどれほどの経費を使った分からないが、迫力はあった。なにより、東京湾の深海に広がる大峡谷の具体的な姿を知ったことが収穫であった。


  東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる
                        石川啄木
  包丁をさばくわが手にふるさとの海の香ちらすこの蟹あはれ
                        林 光雄
  蟹の肉せせり啖へばあこがるる生れし能登の冬潮の底
                        坪野哲久
  べきべきと折る蟹の脚よもののふが甲冑を飾るこころ淋しむ
                        小池 光
  水族館にタカアシガニを見てゐしはいつか誰かの子を生む器
                        坂井修一


なお、右上の写真は今年1月4日のブログ「蟹」に載せたもの。(続)というのは、その続編の意味です。