天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

城ケ島灯台

城ヶ島にて

 城ヶ島東端の安房崎とは反対側の西端の山に立っている。江戸時代に設置された灯明台が、この灯台のルーツというが、もともと安房崎にあったのろし台を移設したもので、後に松明を焚く篝屋に変更された。城ヶ島を描いた江戸期の絵には当時の篝屋の姿が描かれているらしい。
 幕末になって西洋式灯台の建設が計画され、1870年(明治3)に初点灯した。日本では5番目のもの。この灯台関東大震災で倒壊し、現在の灯台は1927年に再建された2代目である。戦前、城ヶ島付近で軍事演習が行われる際には、投光の制限もされたとのこと。
 なお安房崎に灯火がなくなってはやはり不便ということで、先に述べたように、地元の要請で1962年になって安房崎にもあらためて灯台が作られたのである。


      源義の句碑青さびて石蕗(つは)の花


  秋潮のくだけてしぶく断崖に海鵜は見えずウミウの岬
  時経れば立入禁止しぶき立つ馬の背洞門萱草の花
  釣りのぼる釣舟の数かぞふれば六十を越ゆ城ヶ島
  サボテンの赤き莟の間(あひ)に見ゆ再建されし白き灯台
  白秋の歌の立札払はれてさみしくなりぬ城ヶ島
  店番はどこも老人店先に干物ならべて椅子に坐れる
  北條の入江にぎはすユリカモメ水面に群るる小魚を獲る
  いまのうちに体験宿泊してみむか岬の有料老人ホーム
  なかなかに風邪癒えざれば朝夕にのむ錠剤をまた買ひ足せり