天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

茶の花

円覚寺にて

 茶は椿や山茶花と同じ椿科の植物。茶がわが国に渡来したのは、奈良時代であった。鎌倉時代以降に各地に広がったという。中国では漢の時代には飲用にされていた。初秋から冬にかけて白色五弁の花がうつむきかげんに咲く。


      茶が咲けり働く声のちらばりて
                 大野林火
      紬織る里は茶の花ごもりかな
                 古賀まり子


  茶の花の実となる季の残り花うつむく白きこの残り花
                     武川忠一
  生き急ぐほどの世ならじ茶の花のおくれ咲きなる白きほろほろ
                     馬場あき子
  茶の花のほのかな気配 遠く在りし人は死ののちくきやかに顕つ
                     永田和宏