天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

JR鎌倉駅

 奈良時代(710〜784)に大宝令により官道に設置された「うまや」「うまやつぎ」が元になっている。駅は駅馬に乗り継ぐ意で、駅車、駅伝に繋がる。駅伝の制度は、中国では春秋戦国時代(紀元前770〜前221)にはすでにあったらしい。駅は旅と感情を共有する。終着駅などと使うと、人生に関わる情緒を帯びてくる。もちろん、それは小説や映画あるいは演歌の影響である。


  わがために待合室に灯をつけて駅夫は問ひぬいづち行くやと
                       宮沢賢治
  山の駅の歩廊に吹かれ佇つ人らひとつひとつの夕影を負う
                       前田 透
  旗ばかり人ばかりの駅高い雲に弾丸(たま)の速度を
  見送つてゐる               加藤克己          
  殺したいほど羞づかしききさらぎの駅頭の処女(をとめ)ら
  の万歳                  塚本邦雄
  蛍田てふ駅に降りたち一分の間(かん)にみたざる虹と
  あひたり                 小中英之
  廃駅をくさあぢさゐの花占めてただ歳月はまぶしかりけり
                       小池 光