天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

大磯町高麗

皇帝ダリア

 湘南平に連なって東の端に高麗山がある。以前から高麗という名称が気になり、由来を案内板などで読んでいたのだが、歴史的事実は明確でない。言伝えでは、朝鮮半島にあった高句麗という国が滅亡した際に、逃れてきた人々が大磯にも漂着して住んだという。高麗という地名は、埼玉県日高市にもある。いつの時代かに、関東地区に流れてきた渡来人たちを日高市に集めたという。高麗山の麓の高来神社裏手から入って男坂を登り、湘南平の展望台に上った。見渡したところまだ全山紅葉には程遠い。少しがっかりして西口に降りてくると皇帝ダリアに出会った。中南米原産のキク科ダリア属で木立ダリアとも言い、丈は6mほどにもなる。茎を見ると竹のように節があり、草というよりは木という感じである。開花期は11月中旬から雪が降る頃まで。


      笹子鳴く旧東海道化粧坂  
      鋭き声に羽ふるはする笹子かな


  栴檀も榎もあらず大磯は旧東海道の一里塚跡
  高啼きて山の鴉を呼び出せりゴミ収集日の町の鴉は
  呼び交はす鴉の声を空に聞くゴミ収集の朝の街道
  笹子鳴く高麗山のもとことさらに「もくれいし」とふ名札
  かかれり


  水仙の莟すくすく生ひ出づる八俵山のシロダモの下
  のがれ来し高句麗人の思ひなれ今に伝へる祭のうたは
  高句麗をのがれし人の住みしとふ大磯の郷皇帝ダリア
  そのかみの別荘の跡そこここに笹子鳴くなる大磯の郷
  「三千風」とふ最中売る店ありにけり鴫立庵を訪ふ道の辺に
  

[注]木茘枝(もくれいし)
  ニシキギ科の常緑低木。暖地の海岸近くに生える。葉は対生し、
  楕円形で厚い。雌雄異株。3月ごろ、緑白色の小花を多数つける。
  実は熟すと果皮が裂けて赤い種子が現れる。