天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

皇帝ダリア

大磯城山公園にて

 11月になると背の高い皇帝ダリアが目立つようになる。木立ダリアとも言い、メキシコ原産。春に植えて秋には草丈が3〜4mにもなる。それで「皇帝」とか「木立」という修飾語がついた。花色には赤、白、ピンクなど数種ある。皇帝ダリアの花言葉は、「乙女の真心」「乙女の純潔」「優雅」「威厳」。
 手もとの資料で調べたが、短歌に詠まれた例は見つからなかった。普通の「ダリア」は多く詠まれているのだが。11月の短歌人・東京歌会に出された次の詠草があり、評判がよくひとしきり話がはずんだ。


  集落あげて植ゑたりといふ山峡の一戸一戸に皇帝ダリア
                    時本和子


 この時本さんから、花山多佳子さんに歌集『木立ダリア』があることと次の二例を教えて頂いた。


  十一月尽の空気のつめたさに木立ダリアの花を見上げる
                    花山多佳子
  見つめゐし木立ダリアの花のいろ思ひだせない 夢の
  ごとくに              花山多佳子


私自身は、過去にいくつか詠んでいて、ブログにも載せているが、最近詠んだ二首を次にあげておこう。


  冠雪の富士を背に見る大磯の朝日にむかふ皇帝ダリア
  原発の行方わからぬ日本の没日(いりひ)に向かふ
  皇帝ダリア