天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ヒヨドリ

二宮町吾妻山にて

 スズメ目ヒヨドリヒヨドリ属に分類される鳥。ヒヨドリの亜種として日本には、ダイトウヒヨドリ、 ハシブトヒヨドリ、 タイワンヒヨドリ、アマミヒヨドリリュウキュウヒヨドリ、オガサワラヒヨドリ などがいるという。「ヒーヨ!ヒーヨ!」と鳴くところからこの名前がついたという説がある。「ひよ」とも言う。秋の季語。

      ひよどりの弾丸とびに田原坂  黒坂紫陽子 
      鵯鳴いて半眼ゆるむ九体仏   小室善弘
      鑑真廟野の鵯も声つつしめよ  澤田しげ子
  深藪の中に実赤き冬青の木のその実をたべて啼けりひよの子
                      北原白秋
  ひよ鳥のけたたましくも啼くものか樫の木立のあをき春日に
                      若山牧水
  群れゐつつ鵯なけりほろほろとせんだんの実のこぼれけるかも
                      古泉千樫
  少しずつ黒ずみそめし果実載る九谷の絵皿鵯の鳴く
                      岡部桂一郎
  枝よりきし鵯のさへづり取りいでし魔法壜の中に入りてしまへり
                      葛原妙子
  欲望のしわがれのこゑ花喰ひのひよどりのこゑ花に行きにし
                      森岡貞香
  朝明けは小さき舌の動きなど見ゆるばかりにひよどりの鳴く
                      安永蕗子