天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2009新春詠

神奈川県二宮町吾妻山にて

 昨年の暮れから正月三が日にかけて、関東の太平洋岸は近年になく穏やかな晴天が続いた。初日の出を近所の小高い山や岬に立って、ありがたく迎えた人達も多かったようだ。無信心の私と言えば、一日は家族総出で江ノ島水族館に行き、二日三日は箱根駅伝を家の近くで見た。三日目にわが定番のコースだが、梅沢海岸に出て沖を眺め、吾妻山に登って頂上の菜の花畑から富士や丹沢山塊、伊豆の大島などを望んだ。ひさかたの光のどけき初春の情景が広がっていた。


      海に背を向けて凧揚ぐ浜辺かな
      菜の花やまなかひ白き富士の峰
      たたなはる山の奥まで初御空


  初春の光のどけき街道にたすきをつなぐ箱根駅伝
  あらそひて遊行寺坂を駆け上る走者ふたりに手旗
  うちふる


  あらたしき年のはじめの魚釣ると舟はつらなる大磯の沖
  しぶき立つ立入禁止の突堤に年のはじめの釣糸垂るる
  黒潮をけたてて帰る釣舟の青旗なびく大磯の海
  たたなはる丹沢の嶺にあたらしき年のはじめの朝日
  さしたり


  雪つめる富士の高嶺の下に浮く朝日まぶしき初春の雲
  水仙の花咲くかたへあらたまの朝日に向ふたんぽぽの花
  あらたまの朝の日に澄む富士の峰菜の花畑に
  うづもれて見ゆ


  長生きの里もむべなれあらたまの富士見る山に
  たんぽぽが咲く