おしどり。ガンカモ科。万葉集には5首に詠まれている。古名は「をし」。
人漕がずあらくも著(しる)し潜(かづ)き
する鴛(をし)とたかべと船の上に住む
万葉集・鴨君足人
水の上に浮寝をしてぞ思ひしるかかれば鴛は鳴くにぞありける
和泉式部
落葉せる木立をあらみ下渓に見えてこもれる鴛鴦(をし)十数羽
半田良平
枯葦のいよいよやせてをしどりの子らは出で入るためらひもなく
鹿児島寿蔵
押し寄する風波のなかにただよへり連れて二羽浮く鴛鴦のかげ
葛原 繁
ゆるやかに鴛鴦(をし)ふたつゆく水の輪は彩(あや)ある胸の
尖より生れて 上田三四二