天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

菜の花

二宮町吾妻山にて

 アブラナ科。欧州からシベリアが原産という。わが国には古い時代(弥生期?)に中国から渡来した。芭蕉と蕪村が詠んだ俳句を調べてみると、芭蕉には一句、蕪村には14句ある。


      山吹の露菜の花のかこち顔なるや 芭蕉
      菜の花や鯨もよらず海暮ぬ    蕪村


  もも草の萌えいづる庭のかたはらの松の木蔭に
  菜の花咲きぬ              正岡子規
  遠つあふみ大河ながるる国なかば菜の花さきぬ
  富士をあなたに             与謝野晶子
  ここしばらくは死を思ふなく過ぎんかと菜の花にふる雨を
  見てをり                佐藤志満
  しろき日の崩れつつあり菜畑は花ゆりあげてひかりを吸へり
                      春日真木子
  菜の花の黄のひろがりのただ中に蒼くたたまるは天の香具山
                      岡野弘彦


      菜の花やマグマ秘めたる雪の富士
      フルートのしらべつまづく水仙
   
  万葉の歌のいしぶみ黒ずめる山のいただき菜の花畑