天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

翡翠

鎌倉・光明寺にて

 カワセミ科の鳥。背が瑠璃色、腹が茶色。嘴は黒く鋭く長い。赤土の土手などに穴を掘って巣をつくる。三月から八月にかけて産卵、子育てをする。夏の季語。



      翡翠に杭置去りにされにけり
                 八木林之助


  かはせみが一瞬の瑠璃朝あけは神も油断のこと
  あるごとし          安永蕗子
                       
  峡ふかくたぎつ水泡に触りて飛ぶ翡翠の青ゆめ
  のごとしも          岡野弘彦
                       
  耳朶に触る、夜のみなかみの声すなり翡翠ひそむ
  髪にあらずや         前登志夫
                       
  詠嘆にかなふことばも翡翠もただ待ち待ちて
  逢ふものならば        今野寿美