天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

夏椿

鎌倉・明月院にて

 紫陽花の季節なので久しぶりに北鎌倉の明月院に行った。大変な人出である。入山料五百円とは別に五百円必要だが、菖蒲園も見ることができる。夏椿も咲いていた。以前は「沙羅双樹」の札が掛かっていたが、今は無い。次に建長寺に入った。ここは特段のことはなく、寺僧たちが草取りをしていた。中学生のグループに頼まれて、山門下でインスタントカメラのシャッターを押してやった。そこから歩いて鶴ガ丘八幡宮へ。蓮池の縁に座ってぼんやり池を眺めていたら、翡翠が飛んだ。


      竹垣に小鳥が落す夏椿
      鎌倉の谷戸あかときの不如帰
      うろくづや蓮の花咲く大鉢に
      朝光を帯びてちるなり竹の秋
      うぐひすが杉の穂に鳴く建長寺
      池の面に背鰭尾鰭の木下闇
      翡翠の瑠璃がかすめる池の朝
      翡翠が飛び出て閉づる水面かな
      翡翠が魚うちつくる木末かな
      板わさにレモンそへたる冷酒かな


  半僧坊大権現に一礼す今朝はかすみて大島見えず
  寺院には塔頭ごとに檀家あり今日寄り合ひのあぢさゐの寺
  あぢさゐの明月院に朝くれば帚に描く大海の波
  いにしへの山の上の道今は見ず巨福呂坂の洞門をゆく
  嘴に光るものあり翡翠が蓮池たちて梢に止まる