天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

『短歌博物誌』

 今年4月20日に、文春新書で発行された本。うかつにも今まで気付かなかった。著者は、樋口覚。あとがきによると、小池 光の勧めで「短歌人」の動物特集号に書いたエッセイがきっかけになったという。百種ばかりの動物を詠んだ古今の短歌五百六十首をとりあげている。柴田宵曲の『俳諧博物誌』の方法と考え方にならっている。
 読んでいて目立つのは、特定の歌人があちこちに出てくること。それでついつい、登場する歌人と頻度を調べてみた。多い順にあげると以下のようになった。茂吉がダントツである。


斉藤茂吉(69)、正岡子規(33)、斉藤 史(26)、永田和宏(23)、北原白秋(21)、塚本邦雄(20)、高野公彦(16)、馬場あき子(15)、前登志夫(13)、西行(12)、小池 光(12)、与謝野晶子(11)、葛原妙子(11)、土屋文明(11)、岡井 隆(11)、小島ゆかり(11)、古泉千樫(10)、河野裕子(10)、前川佐美雄(10)、佐藤佐太郎(10)、春日井建(9)、若山牧水(8)、
7首組: 高瀬一誌、水原紫苑石川啄木
6首組: 伊藤左千夫、島木赤彦、森岡貞香。
5首組: 源 実朝、浜田 到、米川千嘉子、寂蓮、渡辺松男
     中島 敦、佐佐木幸綱
4首組: 和泉式部、山中智恵子、樋口一葉阿木津英、栗木京子、
     今野寿美、
3首組: 木下利玄、大伴家持与謝野鉄幹、藤原良経、長塚 節、
     宮 柊二、坂井修一、吉川宏志
2首組: 大野誠夫、橘曙覧、森 鴎外、樋口 覚、佐佐木信綱
     岡野弘彦良寛高橋睦郎、衣笠内大臣大伴旅人
     中御門天皇、百々登美子、赤染衛門石田比呂志
1首組: 伏見天皇、待賢門院、山部赤人藤原俊成舎人娘子
     村上一郎土御門天皇、吉井 勇、藤原為家、河内、
     後鳥羽院、加納諸平、曾弥好忠、小池純代、富岡鉄斎
     荻原裕幸藤原実頼紀友則柿本人麻呂大江匡房
     伊藤一彦、境部王、凡河内躬恒、永福門院、多田智満子、
     式部内親王慈円紀貫之、大口玲子、在原業平
     加茂季鷹。