天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉の円覚寺

円覚寺境内にて

 今年の紅葉も見納めと思い、北鎌を歩いた。先ずは円覚寺。さすがに訪れる人たちが多い。もみじの状況も最盛期で、まさに見ごろであった。洪鐘堂から見下ろすと、東慶寺の裏山の銀杏が、朝日を受けて照り輝いていた。右手奥の空に、雪を被った富士が、夢のように霞んで見えた。  
 次に扇ガ谷を越えて海蔵寺へ。ここでは、熟年の絵画教室らしい写生会が開かれていた。梵鐘と紅葉の取り合わせに風情があった。さらに歩いて壽福寺へ。しかし、門前では団体客が説明を受けていたので、混雑を厭い中に入ることはやめた。そこここで映像のプロが撮影をしていたので、やはり今が見るべき鎌倉の晩秋であった。


      弓ひくやもみぢを洩るる朝日影
      廃屋の戸に紅葉の影させり

      
  まなかひは公孫樹もみぢの東慶寺画帳に描く朝影の屋根
  洪鐘の山にのぼればはるかなり浮世離れし雪嶺の富士
  北鎌の駆け込み寺の奥つ城の銀杏もみぢはかがやきに立つ