天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

紅葉狩(12)

北鎌倉東慶寺にて

 鎌倉の紅葉を探りに、獅子舞(モミジ谷)、天園、北鎌の円覚寺東慶寺 などに出かけた。時期が早すぎたか東慶寺の黄葉には青みが少し残っていた。わが性癖として、人で込み合う所には行きたくないので、桜にせよ紅葉にせよその盛りの時よりも早めに出かけてしまう。


     仰ぎ見る朝の紅葉や円覚寺
     洪鐘(おほがね)の撞木に冬の朝日かな
     際立てる銀杏黄葉や杉木立
     ひたすらにシャッターを切るもみぢかな
     竜胆のつぼみ咲き初むさざれ石
     寒椿の花粉にまみれ蜂の朝
     舎利殿は無表情なり谷戸紅葉
     黄葉と紅葉の宴東慶寺


  霜月の紅葉の山を飛び立ちて空にはばたく一羽白鷺
  獅子舞の黄葉いまだならざるを暗き木の間に紅葉
  燃えたり


  天園の岩場に立ちて見下せば紅葉まだらの鎌倉の山
  大小の石の地蔵のそれぞれに菊の一花供へてありぬ
  医者告げし今朝の血圧忘れたり北鎌倉のもみぢ見る時
  霜月も尽きんとするに庭隅の雲南萩の花まだ枯れぬ
  烏瓜ふたつ垂れたる杉の木の蔭に立たせり聖観世音
  開高 健、田中絹代と共にある弁護士一家の墓の
  かなしき