天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

師走の植物園

睡蓮

 動物園もそうだが、歳末の植物園は荒涼としている。多くの種が冬眠に入っているためである。大船フラワーセンターに行ってみたが、温室の植物以外、花々しいものは、山茶花くらいであった。それにしても温室の熱帯性睡蓮は、いつきても見事に咲いている。花のひとつひとつは4日間程度の寿命らしいが、次々に咲き出るのである。


     鳩翔ちて一陣の風冬薔薇
     日に向かひ風受け流す冬薔薇
     落葉ふむ鳩の足音植物園
     鳩の踏む落葉の音の高く澄み
     鴉鳴いて鳩のむれ翔つ落葉かな


  年暮るる植物園に人けなし落葉吹き込む公衆トイレ
  乾きたる落葉を踏める鳩の群鴉の声に飛び立ちにけり
  一筋の蔓につらなる烏瓜朝の光に朱を垂らしたり