天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

如月の植物園

翡翠葛(大船フラワーセンターにて)

 日本海側では、東北から九州まで例年に見ないほどの雪が降っている。横浜市でも夜のうちに降った雪が自動車の上に積もった情景が見られた。この時期の花と云えば、梅、早咲きの桜が主体になるが、他に何かないかと思って大船フラワーセンターに行ってみた。空は晴れていたが、寒天の下では、やはり荒涼たる気配は否めない。そのなかで玉縄桜や梅林の周辺だけは華やかである。ちなみに玉縄桜は、大船フラワーセンターが染井吉野の早咲きのもの中から選んで育成した園芸品種。
 室内の展示会場には、菜の花やスイートピーの鉢が並べられていたし、温室では季節違いというべきハイビスカスが咲いていた。見応えがあったのは、たわわに垂れたヒスイカズラの花房である。原産地はフィリピン諸島で、自然の受粉はオオコウモリによるというが、植物園では人工授粉になる。


     初恋の淡き色ともスイートピー


  梅いまだ七分咲きなる植物園はや満開の玉縄
  年ふりし玉縄桜池の辺に枝をひろげて今年も咲きぬ
  きその夜の雪を忘るる青空の色を移せり翡翠葛は
  汗にじむほどの温室きさらぎのハイビスカスの花は淋しき