天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

冬至

柚子

 今年は十二月二十二日に当たる。わが国にとって太陽が最も南に偏る日であり、日照時間が短い。現在はほとんど顧みられないが、冬至粥や南瓜を食べたり柚子湯に入って息災を念じる風習がある。以前は、柚子湯に入ることもあったが、最近は冬至自体に気付かなくなった。南瓜は日ごろよく食べているので問題ない。



  冬至すぎしゆふぐれ毎に黄色(くわうしよく)のくもりの
  しづむ東京の空             斎藤茂吉
                      
  冬至すぎ一日しづかにて曇よりときをり花火のごとき日がさす
                      佐藤佐太郎
  ひととの病いに耐えて来し妻よ冬至粥煮る匂いまがなし
                      宮岡 昇
  撩乱のこころひとつにひきしぼり冬至ゆふべの菊坂くだる
                      小中英之
  悲しみも悔もしづかにあらしめて柚子にほふ湯に今夜浸れり
                      木俣 修