天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

中山晋平

熱海梅園にて

 先日、テレビで作曲家・中山晋平の生涯を見て感動した。そこに出てきた和田登という人の著『唄の旅人 中山晋平』を購入して、この夏休みに読んでいる。それだけでは足りず、暑いさなか、熱海梅園に移築されている旧居(中山晋平記念館)を訪ねた。早春には梅の花を見に来る人で盛況になる公園も、夏場は蝉しぐれのみ。訪問者は我ひとり。管理人が顔を出したが、広くもないいくつかの部屋を自由に見て回った。二階の屋根を超えるような百日紅が薄紅の花を咲かせ、地面に散り始めていて、早くも秋の気配が漂っていた。この旧居は、もと西山町にあったということで、帰りに来宮神社の上手を歩いてみたが、佐佐木信綱旧居(凌寒荘)を知るのみ、案内図にものっていなかった。


    晋平のピアノ見てゐる蝉しぐれ
    まはりこむ裏見の滝のしぶきけり
    大楠をめぐる木蔭の涼しさよ
    初島の影くきやかに秋立ちぬ


  童謡のレコードかけし蓄音器晋平旧居の小部屋に見たり
  晋平が使ひしカップ見つつ聞く”いのち短し恋せよ少女”
  さるすべりうすくれなゐの花ちればビデオがうたふ「カチューシャの唄」
  作曲に使ひしピアノ汗じみて Rohler&Chase NewYork の銘
  庭壁のレリーフとして「熱海節」見ればちるちる花さるすべり