天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

探梅行―熱海―

熱海梅園にて

 熱海梅園に行くには、熱海駅からバスに乗るコースと来宮駅から歩くコースとがある。後者をとるべく熱海駅で沼津行きの電車に乗ってしまった。次の駅は「函南」というアナウンスを聞いて初めて線路を間違えたことに気付いた。来宮駅で降りるには、伊東線に乗らなければならなかった。長い丹那トンネルを往復することになってしまった。結局、熱海駅からバスに乗って梅園に行った。時間を無駄にしたので、梅園を大急ぎで巡った。紅白の梅の花、蝋梅の黄色い花、地面には残雪を冠った笹、真赤な万両の実、黄花水仙 など春を感じることができた。
梅園から来宮神社へ向う沿道の熱海桜は早や満開に近い。糸川の熱海桜を見に行くべく坂道を歩いて下った。ところが川筋を間違えてしまい僅かな距離をバスに乗った。糸川沿いの熱海桜は今が見ごろであろう。


     紅梅につもりし雪のしづくかな
     残雪や朱塗りの橋を輝かす


  白梅を見上ぐるかなた山の樹に雪ののこりて花と見紛ふ
  紅白の梅のかをりを嗅ぎて立つ中山晋平追憶の碑は
  梅園の花をめぐりてまぶしめり笹にのこれる昨夜降りし雪
  川縁のあたみ桜の基準木今花盛り目白飛び交ふ
  咲きみちて人と小鳥を集めたり糸川沿ひのあたみ桜は
  熱海への往きと返りに読み終へし死にそこなひの『マラケ
  シュ心中』