天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ピアノ

中山晋平愛用のピアノ

 イタリア語ピアノフォルテの省略形。1709年にイタリアのクリストフォリが開発したものが最初とされる。ハープシコードに代って鍵盤楽器の主体になった。日本語の洋琴は、なんとも古めかしい。グランド(平型)ピアノとアップライト(竪型)ピアノの二種類がある。
 日本にピアノをもたらしたのはシーボルトで、1823年(文政6年)のこと。明治時代に入り、西洋音楽を学んだ伊澤修二(東京音楽学校初代校長)が、山葉寅楠(ヤマハの始祖)と協力して国産ピアノの開発にのりだした。


  洋館の椿をゆする疾(はや)ち風ピアノ鳴りつつ弾音はやし
                   中村憲吉
  部屋のうちに洋琴の弾音ちらばれば遊蝶花(パンジー)揺るる
  ごときむらさき          筏井嘉一


  革命歌作詞家に凭りかかられてすこしづつ液化してゆくピアノ
                   塚本邦雄


  週一回ピアノ習ひにゆく吾子に「ちょうちょ」の歌の運指教はる


(追伸)この「ちょうちょ」の歌は、米国に留学した伊澤修二が日本に持ち
   帰ったもので、日本語の歌詞は野村秋足や稲垣千頴がつけた。
   原曲はスペイン民謡ともドイツ民謡ともいうが、確かなことは分らない。