天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

カマキリ

座間谷戸山公園にて

 カマキリ目の昆虫の総称。漢字では螳螂(とうろう)を当てる。鎌虫、蠅取虫、疣虫(いぼむし)、疣じり、疣むしり などの呼び名もある。


  うつせみのわが息息(そくそく)を見むものは窗(まど)にのぼれる
  螳螂(かまきり)ひとつ            斎藤茂吉
                        
  おとろへしかまきり一つ朝光(あさかげ)の軌条のうへを越えん
  としをり                  宮 柊二
                        
  夜の部屋に螳螂ひとつ迷ひきてふとキリストの顔をもたげぬ
                        高松秀明
  螳螂のぎりぎり荒む一瞬の美しければわが日日を恥づ
                        小中英之
  にんげんの部屋に夜更けて入らんとす汝も寂しき冬のかまきり
                        三宅千代
  うちふして動かずなりし螳螂はとほき土星のくらき眼をなす
                        山本鳩世