天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

シャリンバイの実

江ノ島にて

 前回江ノ島に行った時には、岩場で入れ食い状態で釣れていた鯖がほとんど釣れなくなっている。太平洋沿岸を回遊するサバは、伊豆半島沖で春頃産卵し、餌を食べながら北上する。このサバ達が産卵のために南下を始める時期が9月-10月頃で、この時期のサバは脂肪がついて、身もしまり風味は格段に上がる。これが「秋サバ」であった。


  冠雪の富士を望みて磯釣のウキを見つむる秋の江ノ島
  漁の時過ぎたるらしも釣人のあまたむなしく糸垂るる島
  身体髪膚まつ平(たひら)なり店先に重ねられたる蛸すがた焼き
  黒松の龍の鱗をしたふがにリュウゼツラン科ユッカの花は
  草刈の済みて清しき公園の土手にかがよふハマギクの花
  潮風に群落なして生を継ぐシャリンバイの実黒きむらさき
  速力を落し入りくる釣舟を気にせず眠る鷗、鵜の鳥