天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

かりん

大磯にて

 漢字では花梨や榠櫨と書く。中国原産、バラ科の落葉高木。果実は秋に黄熟して芳香を放つ。砂糖漬けや果実酒にして食用にする。


  井の端に落つれば拾ふ榠櫨の実数のたまるはうれしきものを
                        岡 麓
  榠櫨一果のにほへる几(つくゑ)愛染に遠くゐる夜の更けゆかんとす
                        木俣 修
  かりんの実香に立ちてくる湖(うみ)の辺の黄の色もぎてわれや少年
                        武川忠一
  たまひたる花梨(くわりん)一果を掌(てのひら)に載せて濃密に
  なりゆくこころ               高嶋健一
                     
  黄色光(わうじきくわう)放てる榠櫨大空をどうと落ちたるのちの
  深処(ふかんど)               馬場あき子