漢字では花梨や榠櫨と書く。中国原産、バラ科の落葉高木。果実は秋に黄熟して芳香を放つ。砂糖漬けや果実酒にして食用にする。
井の端に落つれば拾ふ榠櫨の実数のたまるはうれしきものを
岡 麓
榠櫨一果のにほへる几(つくゑ)愛染に遠くゐる夜の更けゆかんとす
木俣 修
かりんの実香に立ちてくる湖(うみ)の辺の黄の色もぎてわれや少年
武川忠一
たまひたる花梨(くわりん)一果を掌(てのひら)に載せて濃密に
なりゆくこころ 高嶋健一
黄色光(わうじきくわう)放てる榠櫨大空をどうと落ちたるのちの
深処(ふかんど) 馬場あき子