天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

師走の里山

横浜市の舞岡公園にて

 よく晴れた十二月の初旬に、横浜舞岡公園の里山を訪ねた。くぬぎや楢などのもみじが明るく映え、芒が銀色に垂れて美しい情景に出会えた。梢には鵙が鳴き、四十雀がめまぐるしく飛び移っていた。


     餅搗くや小谷戸の里の子供会
     ひこばえの田を鋤き返す小谷戸かな
     水音の澄める棚田や年の暮
     乾坤を制するごとし鵙の声
     鵙啼いて谷戸の棚田はしづまれり
     泡立つやもみぢの下の花八手
 

  年暮れてわがひとり行く里山は落葉踏む音笹鳴の声
  じゅくじゅくと梢に啼ける四十雀カメラ向ければ飛び立ちにけり
  翡翠谷戸の湿地にわが待てば奥の木立を影うつる見ゆ
  年暮れて水音澄める田の畔に赤く熟せりカマツカの実は
  野茨の小粒の朱実里山の池にその身を映してゐたり
  狐久保瓜久保あれど文字の他違ひわからず谷戸にとまどふ