落葉高木の栴檀は、古名を樗(おうち)(あるいは楝)と言う。四国から沖縄にかけて沿海地に自生するらしい。5,6月になると、若枝の葉腋から花茎を出し、淡い紫色の五弁花を多数、円錐状に開く。果実は冬になって黄熟する。その実は薬用になる。また材は家具に使用される。
妹が見し楝の花は散りぬべしわが泣く涙いまだ干なくに
万葉集・山上憶良
さみだれとことなしびつる時しもぞ人にあふちの花は咲きける
紀 貫之
きさらぎのひるの日ざしのしづかにて栴檀の実は黄に照りにかり
古泉千樫
群れゐつつ鵯なけりほろほろとせんだんの実のこぼれけるかも
古泉千樫