天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

金沢文庫―運慶展―

展示会のポスター

 神奈川県立金沢文庫80年特別展「運慶」―中世密教鎌倉幕府―が、1月21日(金)〜3月6日(日)の期間、開催された。運慶の作品が、東国にあることに少し驚く。彼の一族は、奈良を本拠地としていた。平家滅亡後、父の成朝が、鎌倉幕府開設に当たって、頼朝の要請もあってか、鎌倉に下向し、勝長寿院阿弥陀三尊像造立している。それに続き、運慶は、北条時政から伊豆・願成就院の本尊として阿弥陀三尊および不動三尊、毘沙門天像の造仏の注文を受けた。運慶自身が鎌倉に下向したという記述は見当らない。想像するに、制作は奈良で行い、作品を関東に運んだのであろう。
今回は、次のように奈良、愛知、東京からの作品が参加している。

 ・国宝 大日如来坐像(奈良・円成寺所蔵)
 ・重文 毘沙門天立像(神奈川・浄楽寺所蔵)
 ・重文 不動明王立像(神奈川・浄楽寺所蔵)
 ・重文 帝釈天立像(愛知・滝山寺所蔵)
 ・重文 厨子大日如来坐像(栃木・光得寺所蔵)
 ・重文 大日如来坐像(東京・真如苑所蔵)
 ・重文 大威徳明王坐像(神奈川・光明院所蔵)

展示を見た後は、裏手の称名寺の境内を散歩した。


  運慶が夢想に彫りし抜頭面(ばたうめん)朱塗りくろずみ悪酔ひの相
  運慶の大日如来坐像といふ玉眼にしていささか寄り目
  きさらぎのつめたき風に首すくめ池塘の鷺は朝陽にあたる