天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

仁王(続)

鎌倉・杉本寺山門にて

 鎌倉・杉本寺の山門に運慶作の阿吽像がある。杉本寺は天台宗の寺で、平安初期の天平六年(734)に創建された鎌倉最古の寺。『吾妻鏡』によれば、文治5年(1189)11月23日の夜、火災が起こったが本尊3体が大杉の下で火を避けられたところから杉の本の観音と呼ばれたという。それが寺の名前の由来。


  産み終えて仁王のごとき妻の顔うちのめされて吾は
  ありたり               大島史洋


  火に酔うて仁王のごとし児等と我の眼に泌むばかり根雪
  のひかり               住 正代


  人知れず仁王の心臓食べてゐる虫のちからを思ひこそすれ
                     十鳥敏夫