犬のふぐり
ゴマノハグサ科クワガタソウ属の二年草。3月から5月に淡紅紫色の小花をつける。草の名は、実の形状からきている。現在、このイヌノフグリは少なく、絶滅危惧種に指定されている。2月頃から空色の花を咲かせる種類は、明治以後の帰化植物「オオイヌノフグリ」である。
犬ふぐり星のまたたく如くなり 高浜虚子
こんこんと日は恙なし犬ふぐり 森 澄雄
殉教の地の土赫し犬ふぐり 山田美保
むらさきのいぬのふぐりの花に寄るこころしばらくは保た
しめたまへ 谷 鼎
聖母の目星の瞳といふ花をあるいは犬の陰嚢(ふぐり)ともいふ
後藤直二
犬ふぐり咲ける堤を子と行けば子の髪ぬらすほどの日なたあめ
高野公彦
犬のふぐりの細かき花にかこまれて小屋から一歩も出られない
山崎方代
いぬのふぐり光反射して咲く今日を人ら諍ひ和解してゐむ
舛井善郎
幼ならを写さむと覗くファインダーに犬のふぐりの群れ咲く
が見ゆ 熊谷淑江