天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

敗荷

大船フラワーセンターにて

 「やれはす」と読む。風で吹き破られた枯れ蓮の葉のことである。敗荷の広がった池の様子は、刀折れ矢尽きた荒涼たる戦場の跡を彷彿とさせる。俳句では秋の季語。「破れ蓮」とも書く。


     敗荷の風いろいろに吹きにけり    岸田稚魚
     羽ばたけるもの敗荷の水をうつ    清崎敏郎
     敗荷となりて水面に立ち上がり    高山由美子


  茎折れて水にうつぶす枯蓮の葉うらたたきて秋の雨ふる
                       橘 曙覧
  ありのまま素枯れし蓮のすさまじさ茎みな折れて萼は水漬く
                       葛原 繁